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【NO MAN'S LAND Masanori Oishi plays JacobTV[大石将紀/ZIP-0053]】


販売価格:2,300円 (税別)
(税込:2,530円)
重み:120g
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超絶技巧をものともしないテクニックとさまざまなジャンルを自在に吹きこなす高い音楽性をもつ次世代サクソフォニスト奏者の大石将紀。現在、ヨーロッパで最も活躍している作曲家のひとり、Jacob TVの楽曲を大石自身の多重録音によって作られている。ポップな響きに歪んだ人の声が混ざり合い、脳を刺激するコラージュ感、楽曲には中毒性のある音列が並び、テーマは宗教から政治、アルコール中毒、ドラッグなど日常の裏側に潜む社会そのものが作品となっている。8曲目はdj sniffが2人の作りだした音源をさらに解体し、リミックスした作品。Jacob TVの絶大なる信頼の下、サクソフォニスト大石と次世代の新しい音楽のあり方、表現方を提示した作品となっている。
■クラシック・ニュース サクソフォン大石将紀のCDデビュー

発語する。発話する。

ひとがことばを発するのはもっと生々しいこと。 声の質、大きさもあればテンポもある。喉がふるえて声になるとともに、気息音や舌や頬の内の反響が含まれたりもする。言語によってそのひびきも異なる。特定の言語なら否応なしに何らかの意味も伴ってしまう。ひとの発語は、ひとという管、チューブで成りたつ。それに、JacobTVはべつの管を対置する。 そこではひとの息がリードを振動させ、管をぬけていって、振動が拡大される。
このアルバムは大石将紀がはじめてソロとしてリリースするアルバムだ。大石はこれまでに何度も JacobTV とコラボレーションをおこなってきて、演奏について作曲家から全面的に信頼されている。ここには、大石がこれまで演奏してきた作品はもちろん、このアルバムのために新しく書き下ろされた作品が収録されている。声とからみ、やりとりし、挑発し/され、うねり、ささやき、吼え、甘美にうたうサクソフォンは、すべて大石自身の多重録音による。英語のスピーチ・メロディをカットアップし、ビートを、リズムをきざみ、反復し、脱臼させ、速度を生みだす。JacobTV はサクソフォンという楽器を熟知している。そのう えで大石将紀は広い音域を駆使して、作曲家のイメージをたちあげる。
音楽をおこなう、表現をする行為が云々。それは20 世紀末から21世紀にかけておこっている世界的な変動、グローバリゼーションやさまざまな分野で のテクノロジーや社会的格差やを含んだ状況への、ささやかな物言いだ。音楽だ。音楽ではある。音楽として成りたっている。同時に、こうした 21 世紀 現在のありようそのもののなかで音楽が身もだえる。 それがJacobTVことヤコブ・テル・フェルドハウスの、大石将紀のこのアルバムでさしだしているものだ。
小沼純一
※ライナーノーツより抜粋

Masanori Oishi "No Man's Land - Masanori Oishi Plays Jacob TV" 5.15.2015
Upon receiving undergraduate and master's degrees from both Tokyo National University Fine Arts and Music and the Conservatoire National Sup?rieur de Musique de Paris saxophonist Masanori Oishi played live extensively in Europe, Africa and Asia, including his native Japan, as a member of ensembles as well as solo. "No Man's Land" is his first solo album following some collaborative works. Here he plays the music of Jacob TV, a Dutch avant-garde classical composer, whom Oishi has worked with and established a mutual respect. Building on Jacob TV's style, this album is a chaotic blend of cut-ups of human voice/speech and a variety of styles and expressions using the saxophones of jazz, classical and contemporary music, from whispering sounds to roars and howls. The speech often contains social, political or religious messages, while some of it raises dark issues such as drugs and alcoholism. A stimulating and shrewd sound collage from the young saxophone supremo. One of the tracks 'Sho-myo' was written by Jacob TV specially for this album.



【メディア掲載】
●雑誌CDジャーナル2015年7月号
現代社会に対する警句的メッセージと、断片的で直截イマジネイティブなサウンドがゴチャっと目まぐるしく生起するヤコブTVの切り音細工に、サックスの響きが変幻のスピードにシンクロしつつも、有機物的ナマ音生理で気り込んで、リアルなエモーションの厚みと風穴のパワーを重畳する。大石、仕業鋭敏!
●『ぶらあぼ』2015年6月号
テレビから流れる宣伝文句、因人のスピーチ、声明…。異色のオランダ人作曲家JacobTVは日常の何気ない素材をサンプリング&カットアップし、反復してみせる。そこから生まれる独特なリズムやグルーヴ感にサックスが縦横無尽に切り込む。ビートは生気を帯び、音楽は歌に替わる。デジタルとアナログの融合は、ポップスというジャンル越境的な楽器と、大石将紀の柔らかな感性によって、ようやく私たちの眼前に開けてきた。予兆めいた一枚だ。(江藤光紀)
● 『intoxicate vol.116』
いろんな意味で「ノイズ」が大好物なせいか、私の場合、クラシック系サックス奏者による作品にときめいたという経験はあまりない。しかし、これはすこぶる刺激的で胸高鳴った。大石将紀の初ソロ・アルバム『NO MAN'S LAND Masanori Oishi playsJacobTV』。なにしろタイトルどおり、ヤコブTV(ヤコブ・テル・ヴェルデュイ)の作品ばかりを演奏したコンセプチュアルな作品。それもブームボックスものばかり。ヤコブ TVの作品ばかりを演奏した CDはピアノやサックスなど過去にもいくつかあったが、ブームボックス作品ばかりのサックス・アルバムというのは、おそらく世界初だろう。
オランダ人ヤコブTVは、ロック・ミュージシャンを経て作曲と電子音楽を学んだ後、1980年代から本格的に現代音楽の世界で活躍してきた。ポップアート的な軽やかさとユーモアと斬新さ、そしてシャープな同時代性を身上とする手法から“ニューミュージック界のアンディ・ウォーホル”などと呼ばれることが多いわけだが、とりわけ、スピーチと様々なサウンド(電子音を含む)を複雑に組み合わせて作ったテープをバックに生演奏するというコンセプトのブームボックス作品は、「ヒップホップ・アーティストが生真面目に見えるほど刺激的だ」と評されるなど、前衛音楽家としての彼の勇名を高めてきた。
大石のこの初ソロ・アルバムは、刑務所の囚人たちのスピーチを使った名曲《Grab It !》をはじめとするブームボックス作品7曲(1曲は、日本の声明を素材にした、本CDのための書下ろし作品)を、多重録音も交えながら単独で演奏したもので、更に、最前衛の音響構築家である日本人実験音楽家 dj sniff による圧巻のリミックス・ワークも1曲追加されている。
「人の語りを混ぜた現代音楽作品はあるにはあるけど、言葉の高低や抑揚とサウンドがここまでぴたっとはまり、ヒップホップ的カッコよさをもつ音楽は聴いたことがなかった」と、08年にヤコブTV作品に出会った時の興奮を振り返る大石。数年前にはヤコブTV作品だけのコンサートを開くなど着々と心の準備を進め、遂に今回の録音にこぎつけたのだという。
「人間の生きたスピーチが自分のサックスの音と交わり、融合すること。更に、彼の作品が持っている社会的メッセージを自分なりに体感し、考えながら演奏できること」
ヤコブ TVのブームボックス作品の演奏、そしてCD完成の喜びをそう語る大石。取材の締めの言葉は「松蔭浩之さんが制作したPVも素晴らしい出来です」。是非Youtubeでチェックしていただきたい。
(interview&text:松山晋也)

【演奏者】
soprano, alto, tenor and baritone saxophone:大石将紀

【 商品情報 】
タイトル :NO MAN'S LAND Masanori Oishi plays JacobTV
アーティスト名:大石将紀
発売日:2015年5月15日
発売元:ジパングプロダクツ株式会社
価格:¥2,530 (税込)
品番:ZIP-0053
JANコード番号:4582271150654

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1. THE BODY OF YOUR DREAMS
for saxophone quartet and soundtrack (8'30")
アメリカでテレビを付けた時に流れてきたというテレビ・ショッピングの宣伝。プレゼンター達のうさんくさい宣伝文句も、テレビで1日中ずっと流しれていれば、最初は 半信半疑でもついつい信じて電話をかけてしまうかもしれない。現代の消費社会の虚構と妄想をコミカル、かつアイロニカルに表現した作品だ。
2. TA TA TA TA DUO
for tenor, baritone saxophones and soundtrack (5'14")
初めて手掛けた「boombox music」作品。とある老人の思い出話を吹き込んだ古い録音の発見が、作曲のきっかけとなったという。フランスの詩人、ギヨーム・アポリネールが少年時代の彼(老人)を膝に乗せて "TA TA TA TA(タタタタ)" 軍歌を歌ったのだという。たった 5 秒ほどしかないその歌の一節に着想を得た JacobTVは、この素材を加工し、さまざまに変容させ作品に仕上げた。
3. GRAB IT !
for tenor saxophone and soundtrack (9'49")
JacobTVの代表作。「サクソフォンとはブルース、ジャズ、ロッ クなどのアメリカン・ミュージックの歴史そのものである」と語る JacobTV は、ソニー・ロリンズ、ク ラレンス・クレモンズ、ジョージ・アダムスといった往年のアメリカン・サクソフォン・プレイヤーの フレーズもこの作品の中に引用している。クールなメロディとは対照的に、この曲には長期刑や終身刑を受けた囚人たちの刑務所生活の重く苦しいスピーチが引用されている。 "Memento Mori(生の中で死を思え)" ならぬ "Memento Vivere(生の中で生を思え)" が、この作品のテーマとなっている。
4. THE GARDEN OF LOVE
for soprano saxophone and soundtrack (7'19")
『The Garden of Love(愛の園)』は 18 世紀の詩人、 ウィリアム・ブレイクの同名の詩をもとに書かれた。 冒頭で詩が読み上げられ、その後、朗読からの断片 と詩の世界観からインスパイアされた電子音響とで、 曲が構成されていく。ブレイクは、この詩で人々を神の手から遠ざけているのは他ならぬ教会であると批判している。
5. SHO-MYO
for alto, baritone saxophone and soundtrack (15'17")
『SHO-MYO』とは、日本の仏教僧が唱える「声明」のこと。近代的な街並の東京がとても好きだという JacobTV だが、日本の伝統音楽には、まったく違う 世界の文化に出会ったような感覚を持ったという。本アルバムのために新たに作曲された作品で、大石将紀に献呈された。
6. TAKE A WILD GUESS
for saxophone quartet and soundtrack (9'38")
2007 年から 2008 年にかけて書かれた『Grab it !』 の続編。タイトル『TAKE A WILD GUESS』は「(確信 がなくても適当でいいから)当ててごらん」という いう意味。『Grab it !』と同じ素材であるアメリカの塀の中で暮らす囚人たちの声をコラージュしている。
7. SYRACUSE BLUES
for saxophone quintet and soundtrack (3'57")
イタリア、シチリアの都市シラクサを訪れた際に、市場の魚売りの声に惹かれて作った作品。グリッサンドを伴い、ギリシャ語とラテン語、アラビア語 が混じるシチリアの方言でサイレンのような声。この激しくも儚いメランコリックな声に、5本のサクソフォンの古い賛美歌のような旋律を重ねた。人間による海の汚染、魚の乱獲。この作品はそれらを言う JacobTV によるラメント(哀歌)である。
8. BROODJE SPECULAAS MET KERNEMELK / dj sniff
Remixed by dj sniff (11'32")
ターンテーブル奏者の dj sniff によるリミックス作品。JacobTVの楽曲を解体し、ターンテーブルと独自のソフトでさらに再構築。様々な素材が詰まったJacobTVのオリジナル・コラージュ音源を更にコラージュする手法で新たな作品へと生まれ変わっている。

解説:大石将紀 ※ライナーノーツより抜粋
トレーラー アートディレクション&撮影:松蔭浩之 編集&協力:JET-ON

All Songs By
JacobTV (Jacob Ter Veldhuis, b.1951)

soprano, alto, tenor and baritone saxophone
Masanori Oishi

Sound Director
Sumihisa Arima

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【大石将紀】 東京芸術大学卒業、同大学院修士課程修了。2001年に渡仏しパリ国立高等音楽院に入学。サクソフォン科、室内楽科を、即興演奏科を全て最優秀の成績で卒業。その後同年同音楽院大学院過程室内楽科に進み2007年に修了。2002年から2004年まで文化庁派遣芸術家海外研修員として研鑽を積む。これまでに明治安田生命クオリティオブ文化財団、メイヤー財団、エラスムス財団、ソシエテジュネラル財団から奨学金を受ける。フランスをはじめとするヨーロッパ諸国、アフリカ、アジアでの演奏活動を経て2008年に日本に帰国。同年3月東京オペラシティ文化財団主催のリサイタルシリーズ「B→C 100」に出演、高い評価を得た。その後東京オペラシティ文化財団コンポージアム、サントリー音楽財団サマーフェスティバル、横浜みなとみらいホール「JUST COMPOSED」、武生国際音楽祭などに出演。また故ピナ・バウシュのダンスフェスティバルNRW国際ダンスフェスティバル2008(ドイツ)にダンスとの共演で出演。
現代音楽、クラシック音楽を軸に、ライブ、テレビ、ラジオ、CM音楽の録音、学校等でのアウトリーチなど幅広く活躍している。ブルーオーロラ・サクソフォンカルテットメンバーとしてアルバムを2枚リリース。また現代音楽グループ「東京現音計画」メンバーとして第13回佐治敬三賞を受賞した。2007年4月より東邦音楽大学、同大学院非常勤講師、2012年より洗足学園音楽大学非常勤講師、2015年より東京藝術大学非常勤講師として後進の指導にもあたっている。
公式ウェブサイト www.m-oishi.com

【JacobTV】
オランダの「アヴァン・ポップ」な作曲家JacobTVは、ロックミュージックから音楽をスタートし、その後作曲と電子音楽を学んだ。1980年にオランダ作曲賞を受賞、プロとしての活動をスタートさせ、真摯かつ効果的なエフェクトを施したメロディアスな作品ですぐにその名を広めた。「私の音楽は砂糖でスパイス付けされた音楽だ」と言JacobTVを、メディアはニューミュージック界のアンディー・ウォーホールと呼んだ。超調性的で甘美な音楽の作曲家としての彼のキャリアはダンテの「神曲」を元にしたビデオ・オラトリオ「パラディソ」(1994) において頂点に達した。21世紀になると、スピーチメロディーをベースにしたサウンドトラックとライブ演奏のための作品、Boombox 作品が彼を世界的に有名にした。
ヤコブTVはヨーロッパの作曲家の中でも現在最もその作品が演奏されている作曲家の一人である。彼は依然としてモダン・クラシカルミュージックのシーンにおいてアウトローのポジションに居続けており、そんな彼の音楽が「ミュージック・テロリズム」として非難されたことは記憶に新しい。ウォール・ストリート・ジャーナル誌は、彼の作品のいくつかは「ヒップホップアーティストが生真面目に見えるほど刺激的である」と評した。
2007年にはニューヨークのホイットニー美術館で3日間にわたり”ヤコブTVフェスティバル”が開催された。現在はリアリティー・オペラ “THE NEWS" を 定期的に内容を更新し上演しており、シカゴ、ローマ、アムステルダム、ハンブルグ、ニューヨークにおいて様々に改訂された版が上演された。現在も次の改訂版が準備中である。
これまでにロイヤル・コンセルトヘボウ管弦楽団、ロッテルダム・フィルハーモニー管弦楽団、東京シティ・フィルハーモニック管弦楽団、ブランフォード・マルサリス、ジェームズ・ゴールウェイ、アルノー・ボーンカンプ、アムステルダム・シンフォニエッタ、Calefaxなどによって作品が演奏された他、ネザーランド・ダンス・シアターなどにも作品を提供している。
公式ウェブサイト www.jacobtv.net

【dj sniff】
ターンテーブルと独自の演奏ツールを組み合わせながら実験音楽/インプロビゼーション/電子音楽の分野で活躍する音楽家。アムステルダムのSTEIM電子楽器スタジオで長年Artistic Directorとしてリサーチ、キュレーション、レジデンシープログラムを任され、現在は香港に拠点を移し東アジア及び東南アジアでの活動に力を注いでいる。


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